流産はどんな病気か
流産とは、胎児が胎外で生存不可能な時期の分娩と定義されています。実際には妊娠22週未満の分娩をいい、このうちほとんどの自然流産は、前半の妊娠12週までに起こる初期流産です。
初期流産では、胎芽(たいが)(胎児になる前の状態)が認められないか、認められても生存していない状態なので、正常妊娠へと治療する方法はなく、妊娠は継続できません。
流産はまれなものではなく、妊娠がわかった人の10〜20%ほどでみられます。つまり、ヒトの妊娠で正常に育ってくるのは80〜90%だということになります。
胎芽が育っていないことは、超音波検査でわかるため、出血や痛みなどの症状がなくても診断が可能です。妊娠12週を過ぎて起こる流産は少数で、ここで説明するものとは異なります。
原因は何か
自然流産の原因の65〜70%は、受精卵の染色体に異常が起こったためです。そのため正常な胎芽へと発育せず、妊娠が継続できません。染色体異常は母体の年齢が高いほど頻度を増すため、流産の頻度は、健常な女性でも20代で10〜20%、30代で20〜30%、40代では30%以上といわれています。
このほかの原因に、妊娠前後の卵巣ホルモン分泌不良や不育症(ふいくしょう)・習慣流産(しゅうかんりゅうざん)がありますが、多くの妊婦さんが心配する「動きすぎ」「冷え」「ころんだ」「おなかをぶつけた」などは、あまり原因とは考えられません。
症状の現れ方
妊娠初期の出血イコール流産と考える人が多いようですが、痛みや出血がまったくない状態で、流産と診断されることもしばしばあります。反対に少量の出血があっても、その多くは正常に妊娠が継続します。
もちろん、流産では少量の出血がみられることが多く、子宮内容が排出される時には多めの出血と下腹部痛を伴うので、出血は注目すべき症状です。