本剤は安宮牛黄丸、局方至宝丹、紫雪の三処方から成ったものであり、これは《温病条弁》中の高熱、痙攣に優れた効果が現れる処方である。本剤は三処方共同の特徴を集めて、安神、解毒等の効果がある。
成分:生烏犀屑、生玳瑁屑、琥珀、朱砂、雄黄、龍脳、麝香、牛黄、安息香、銀箔、金箔など
安宮牛黄丸・紫雪丹・至宝丹は、いずれも高熱・意識障害・痙攣発作・筋肉攣縮に効果がある。この中では安宮牛黄丸が最も涼性で、次いで紫雪丹・至宝丹の順である。 安宮牛黄丸は、感染性疾患で顕著な熱痰・意識もうろう状態に用い、強い解毒・去痰作用をもっている。 紫雪丹は、高熱・筋攣縮・意識障害・煩躁などの熱閉に用い、その清熱鎮痙の効能を利用する。 至宝丹は、熱痰による閉証で、高度の意識障害のある脳血管障害に使用し、その辛香開竅の力を利用する。 必要に応じて3者を互いに代用してもよい。
麝香との比較:牛黄の開竅の効果は麝香より弱いが、清熱解毒の効能を持っているのが特徴である。発熱性疾患の意識障害には、牛黄と麝香を同時に用いる。
牛黄は清熱解毒の力が強く、黄連・黄ゴン・連翹などよりも優れているといわれている。それゆえ、牛黄を清熱解毒薬と考えてもよい。
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